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俳優の卵たちの応援をやめた理由。自分の力で気付くことの大切さ? [映画業界物語]

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俳優の卵たちの応援をやめた理由。自分の力で気付くことの大切さ?

その昔、もう15年以上前になるが、毎月、フリーのワークショップをしていた。俳優の卵たちは貧しかったこと。彼らが事務所で受けるレッスンが何の役にも立っていないこと。とてもやる気があるのにどうすればいいか?分からない子たちが何人もいて、放っておけなくてワーックショップをしていた。

が、演技力以前に、俳優とは何か?が分かっていない子もいて、芸能界のルール以前に一般常識も欠けている連中もいた。それでも俳優になる夢は本物で足掻き続けていた。僕も真剣にかかり、実力を付ければ自分の作品に出演させよう。と考えていた。ただ、以前書いたように、オーディションのチャンスがあっても

「バイトあるので行けません」

という奴がいた。そんなときは速攻で呼び出して説教。皆、しっかりと説明すると、理解した。小さなチャンスがどれだけ大事か? 大きなチャンスがいきなりやって来ないこと。プロデュサーが「君は才能ある。次回作に出したい!」なんて言って来ないこと。自分から実力を示さないといけないこと。分かってくれた。

それでも、若き俳優の卵たちは潰れて行った。恋人と揉めて落ち込みやる気をなくしてしまう。バイトバイトに明け暮れ何もしない。演技よりも友達付き合いが大事。何度レッスンしても延びない。

夢を諦めた訳ではないが、病気で続けられなくなった子もいた。そうして1人消え、2人消え。数年で誰もいなくかった。1人だけ今もバイトしながら、俳優らしきことを続けているが、エキストラ的な仕事しかしていない。

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時間を使い応援、飯を食わせたり、別の監督を紹介したり、オーディションにも送り込んだが、誰もその成果を出していない。僕の作品に出た子たちもいたが、その後は全然ダメ。そんなとき知り合いのマネージャーから言われた。

「僕らの事務所には何百人という俳優志望の子たちがいます。レッスンをさせ、特訓し、いろんな経験をさせ、育てて行きます。でも、その中で売れるのは何百人に1人。ほとんどがダメになります。監督が応援していた子たち、10数人しかいない。全員が諦めたのも当然ですよ。

それが普通。監督は監督なのですから、俳優を育てる仕事ではありません。それは僕らの仕事。いずれ夢破れ去って行く子たちに時間を裂くより、いい作品を作ることに時間を費やしてほしいです」

そうかもしれない….。当時はVシネマ、深夜ドラマ、のような仕事しかしていなかった僕も、やがて劇場映画を撮り、映画監督デビュー。経済的には苦しかったが、怒濤の戦いで5本の映画を撮った。企画、脚本から、監督、編集、宣伝までするので、とにかく忙しい。若い子たちの応援ワークショップをする余裕もなくなり、10年以上が過ぎた。

その後も、若い俳優たち、俳優の卵、とは出会った。彼らもまた、熱い思いを抱え、がんばっている。が、良かれと思いバカなことをしたり、せっかくのチャンスを逃したりしている。あるとき、見かねて、その1人にメールした。ら、

「じゃあ、どこが問題なのか? メールしてください」

と返事が来た。ま、昔なら飛んで行って説教!だが、今は映画制作で常に多忙。それを彼は知っている。Facebookを見ていても分かるだろう。

また、僕は彼の師匠でもなく、マネージャーでもない、身元引き受け人でもない。そんな相手にメールで問題点を書いて送れというだろうか? 医者にメールして、自分の病状を詳しく知らせてくれというようなもの。


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その件を含めて、最近思うことがある。あれこれ言ってもダメな奴は延びないし、出来る奴は言わなくても延びて行く。僕が元々ダメな奴だったので、それでもあれこれ考えて、この業界で生き延びきた。だから、ダメな奴を見ると応援したくなるが、アドバイスして、説教して、飯を食わせて、応援して、飛び立った奴はいない。

努力の仕方が間違っている。そして、俳優という仕事への勘違い、思い込み、過大な期待、演技より有名になりたい思いを優先。恋人と揉めたら芝居ができなくなる。

つまり、演技論やレッスンではなく、人間としての問題を解決することが先!ということが多い。僕があれこれいうべきではない。考えた。例えば僕が説教する。

「有名になりたいーでは俳優になれない」

「小さなチャンスを繋いで大きなチャンスに繋げる」理屈では納得する。が、同じ失敗を繰り返す。これは親子関係と同じだと思えて来た。親は細かいことをあれこれ言う。子供は「うるさいな」という。子供が「俳優になりたい」という。親は「無理だ。現実を見ろ」という。子供は納得しない。

これと同じ構図かもしれない。ま、内容は真逆なのだが。共通すること。言われても子供たちは分からないということ。学ぶとはどういうことか? 言葉で言われたり、文章を読んだりということはある。

が、多くは体験から学ぶのだと思える。痛い目に遭う。苦しい思いをする。バカを見る。ダマされる。利用された。そんなことがあって

「やってられないな!」

と諦めるのなら、その程度の夢だ。それでも続ける。やめられない。じゃあ、どうすればダマされないのか? チャンスを生かせるのか? そこから反省し考えてこそ、飛び上がれる。その屈辱の体験が大きなプラスになる。俳優を目指す者だけでなく、ミュージシャンでも、作家でも、画家でも、漫画家でも、いや、商売だって、職人だって同じだろう。


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特に若い子はちょこちょことやって、早く有名になりたい!というタイプが多い。だから1年がんばってダメなら諦める。それはもともと真剣ではなかったということ。もし、そこで

「1年じゃ無理なんだ。5年がんばってみよう!」

と思えれば可能性がある。やはり僕が1人1人を応援し、説教してまわることに大きな意味はない。牧師ならそうやって1人1人を説いて回ることも意味あるかもしれない。が、本来の仕事は映画監督。

よく知る若い連中が明らかに間違った方向に努力しているのを見るのは辛い。が、それで1年を無駄にするのを止めるより、1年も月日を無駄にしたことで後悔して、次の1年を有意義なものにできるなら、その1年は無駄ではない。

そこを親心で、無駄にしないように、間違わないように、うるさくいうことに意味がないと思えて来た。だから今は若い子たちに直接応援はしない。ただ、何かのヒントになるように、Facebookやブログではその種の記事を書いている。それを読み、何かに気付いてくれれば嬉しい。

あと悲しいのは俳優という職業を目指しながらも「覚える」ことしかしない長年の教育で、多くが「考える」力がないこと。結構有名な大学を出た子でも、その力が乏しい。どの業界にも、どの世代にも言えることだが、

「考える」ことに気付かなければ、この混迷の時代は生き延びることができない。

新しい情報を得て、そこから道を考える。結局、この問題もそれが答えだと思える。1人1人の応援はしないが、俳優を目指す人たち。何とか自分なりの道を見つけ、夢を掴んでほしい。



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