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【夢を掴むこと。そして夢破れること。果たしてどちらが幸せか?】 [映画業界物語]

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【夢を掴むこと。そして夢破れること。果たしてどちらが幸せか?】

10代の頃。友人でミュージシャンを目指していた奴がいた。根性があり、行動力があり、バンドをやっていて、彼はギターを担当。ルックスはよくなかったが、リーダー格。プロを目指していた。バイトをしながらバンド活動をしていたが、いろいろあって、バンドが解散。次のメンバーを集めるべく動いた。

そんなときに見つけた割のいいバイト。彼はそこで働きだした。もともと行動力があり、明るい性格。店長に気にられて、支店を任された。給料もいい。当時は風呂なし、トイレ共同が大学生なら当然だったのに、同じ歳頃の彼は風呂付き、トイレ水洗のアパートに住むことになる。

友人たちは羨ましがったが、彼なりに葛藤があった。バンドメンバーが見つからない。対してバイトはうまく行っていて、下手なサラリーマン以上に稼いでいた。店長からは正社員にならないか?誘われていた。が、彼は夢を捨てられず、バイトを辞める。そして故郷に戻り、バンドを続けることを決意。

その後、彼は地元のある会社でバイトしながら、昔のメンバーとバンドを再結成しようとしていた。が、ここでも会社で気に入られ、正社員になれと勧められた。その内に素敵な恋人ができて結婚。結局、正社員になった。数年後に子供ができたと聞くが、僕が連絡しても、もう返事はない。

夢を諦めたことを気にしているのだろう。僕はそれから10年ほどかかり、監督デビューする。さらに8年ほどかかり映画監督デビュー。それから12年間に5本の劇場用映画を撮った。が、ハリウッド監督とは違い、日本の監督たちは貧しい。そして貧乏暇なしで、結婚もせず(できず?)子供いないまま50代になった。

この30年を振り返り考える。彼と僕とどちらが幸せなのだろうか? ドラマなら夢をつかんだ方がハッピーエンドであることが多いが、現実的に考えて、果たしてそう言い切れるか? この先、60代、70代と映画が撮り続けられる保証はない。そこから会社員にはなれない。どうやって生活すればいい? そうならないためには戦い続けるしかない。

一方の友人。あと5年くらいで定年だろう。あとは年金生活。子供も成人して働いているはず。日曜日は友人たちと素人バンドをしているかもしれない。そんなふうに考えると、夢を実現したからと、ハッピーとは言い切れない。アメリカ映画のように名誉や金が日本では手に入るわけではない。

俳優業も同じだ。もう、何十人、何百人もの俳優志望の若い人たちに出会った。その中でプロになったものは極々わずかしかいない。が、それは悲しいことではない。そこから彼ら彼女らは平凡だがささやかな幸せを掴んでいるかもしれない。だとすれば、夢破れたことがよかったと言えるだろう。

プロになっても、そこでハッピーエンドではなく、俳優業で食えるようになること。映画やテレビに出演すること。より大きな役を演じること。と、終わりのない戦いがスタートする。そしていつ依頼がなくなり、仕事が途絶えるか分からない業界。生き残るのは一握り。

ミュージシャンへの夢破れた友人。僕を羨んでいるかもしれない。が、どちらが幸せといえるのだろうか? その答えはそれぞれに違うと思うが、言えることは、僕には堅気の生活はできない。だから、この道を進むしかない。幸せか不幸かではない。そんな世捨て人が集まるのが、この業界なのだとも思える。



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