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15年前の退屈極まりない映画=その監督と仕事をした話? [映画業界物語]

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15年前の退屈極まりない映画=その監督と仕事をした話?

ある映画会社。娯楽作品が専門だった。そんな中で一番酷いと感じた映画がある。青春もの。キャストは当時人気の若手女優と、実力派の男優。原作は超人気。制作費も億単位。なのに、その映画は本当に退屈で、退屈で、仕方がなかった。共感できない。全てが他人事。笑えない。泣けない。感動できない。問題は監督だろう。脚本も兼ねている。

それから15年後。ある仕事でホンを書いた。監督デビュー前だ。社長が気にらないというので、別の先輩ライターが呼ばれ共同脚本でやることになった。名前を聞き、驚いた。あの退屈映画の監督だった。

かなりな変人か?!と思ったら、礼儀正しい。地味なシャツにGパン。あえて例えるならこだわりのコーヒーショップのマスター。愛想がないがコーヒーにはこだわりがある。物静かで必要がないと喋らない。そんな感じの人だ。作業がスタート。僕の書いた脚本を見てもらう。青春もの。驚いたのは悲しみを共有し、頑張る主人公たちをこう評したこと。

「こんなお涙頂戴シーンでは、観客の共感は得られない!」

一番、観客が感動する場面だと思っていたのに、一刀両断。彼が直しをすることになる。本筋は同じだが、別物になった。まさに15年前に見たあの映画と同じテイスト。お涙頂戴と言われた場面はバッサリ。クライマックスも「何でそっちへ行くの?」という展開。笑えない。感動できない。ハラハラしない。全てを面白くならない方向に進めている。

別の例で説明すると「これから彼女に恋を告白しに行くぞ!」というシーンで、恋人とは関係のない男友達と喧嘩する場面になり、それで盛り上げる感じ?

「そっちじゃないだろ? 彼女に思いを伝えに行けよ!」

と思ってしまう。何より健気に頑張る若者を見たなら、普通は共感して「応援したい!」と思う。だが、彼は

「悪足掻き。そんな奴らは応援したくない...」

と感じるようだ。また、脚本家というのは物語の主人公に愛を感じ、ヒロインなら恋心を持って書き進めのだけど、彼はそれがないようだ。シビアというか、冷酷というか? 思い出すのは15年前の映画。見ていて共感したり、応援したい、と思えなかったこと。

あの映画でも彼は主役の女優にも、相手役の男優にも愛を持ってなかったのではないか? シナリオ上のヒロインにも、他のキャラにも、愛も恋も感じていない。監督が好きになれない俳優に、観客が魅力的に感じることはできない。だから、見ていて退屈した。それが理由だろう。

人の「弱さ」を軽蔑し「ひたむきさ」をバカにしている。それは彼の感性であり価値観。否定すべきものではない。「グロリア」のような乾いたアクションを撮れば合うだろう。が、青春ものには向かない。センスが一般の人とかなり違う。だから、彼が書いたギャグは笑えない。

結局、その作品は製作中止。その後、彼はどこかで1本監督したようだが、その後の消息は分からない。僕は監督デビュー。泣ける映画を5本撮った。思うこと。監督の性格や価値観が映画に出るということ。そして監督が好きになれないと、俳優の魅力は観客には伝わらないということ。映画は目に見えないものを伝える。


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